野球をやっていると、天性の才能を持った選手をたくさん目にする事はある。
少年野球の世界でも、中学の強豪クラブチームにスカウトされそうな選手はいる。
中学のクラブチームにも、有名強豪高校にスカウトされそうな選手はいる。
体格に恵まれ、体の柔らかさに恵まれ、持って生まれたパワーに恵まれ、足の速さ、肩の強さなど、天性の才能を持っている選手はたくさんいる。
しかし、みんながみんなそんな選手ばかりではない。
不器用であったり、体が小さかったり、体が硬かったり、体の力が弱かったり…野球界では「厳しい」と昔から言われ続けた要素ではあるが、私はそうは思わない。
指導者や親は、他の選手と比較して評価してしまうもの。
特に、天性の才能に満ち溢れた選手と比較し、不器用な選手などにダメ出しをしてしまうパターンが多い。
そういった選手達は、試合となれば、出場機会も減ってしまい、普段の練習も、指導に恵まれず、成長する機会が少ない。
小・中学生などの子供の野球は、まだそんな世界になってしまうのは早い。
できる・できないで仕分けしていくのではなく、どのようにしたら、高校野球、その上の野球で生きていけるかを一緒に考えてあげる必要がある。
考え方を教え、必要な技術を教え、人間的成長を促し、将来野球から離れても必要になる考え方を少しずつ植え付けていきながら育てていくべきだと思う。
才能に満ち溢れた選手を目にし、劣等感を持つのではなく、自分にしかないものは何か、自分を分析し、生きていくための長所を探し出し、それを伸ばしていく事が大事だと思う。
体の小さい選手が大きい選手に対抗しても仕方ない、足の遅い選手が俊足な選手に対抗しても難しい、あまり飛距離が出ない選手がホームランをたくさん打つ選手を意識しても結果は厳しい、考え方はそうではない。
体の小さい選手の役目を教え、足を少しでも速くするためにはどんな練習をすれば良いのかを考え、飛距離を少しでも出すためには何が必要なのか、体が硬い選手は欠点ばかりでない長所を教えたり、生きる道のアドバイスが大切だと思う。
自分の持っていないもの、残酷だが、頑張っても手にする事が不可能な事はある。そこを欲しがったり考えても仕方ない。
できない事・やれない事も求め出したら切りがない。
考える力や練習の積み重ねなどの忍耐力、心を切り替える能力を養い、内面的成長で人を上回っていく事で、プレイヤーとしての自分や人間としての自分を自分自身で磨いていく事ができると思う。
どんな選手でも大事にし、辛抱強く向き合ったり、褒めたり励ましたり、時には注意したり、長い目で温かく見守っていく事が私の育て方だと思っている。