まもなく春休み。また春休み中は、毎日普段よりもさらに熱い練習が始まる。
道場の選手達もみんな学年が一つ上がる。
新しく中学三年生になる選手達は、道場で最後の春になる。
その中の一人に、今コツコツ成長を重ねている選手がいる。
元々有名な中学のクラブチームに所属していた。
しかし、試合が多く、出場機会に恵まれず、試合が多い分大切な練習が不足し、
基礎・基本を教わる事なく時間だけが過ぎてしまった。
実力の世界である事は間違いない。
しかし、実力を付けるための練習もできない中で、技術やメンタルが鍛えられる事はない。
彼の心は悔しさと虚しさで弱っていて、野球の目標を諦めかけていた。
そんな状況の中で道場と出会った。
チームを離れ、環境を変えて、道場に飛び込んで来た彼の気持ちを大切にしなくてはいけない。
もうすでに中学生、時間に余裕があるわけではない。
しかし、身についていない基礎・基本もたくさんある。
簡単ではないが、彼の気持ちを信じる。
彼を変えれるのは私しかいない…。
自分にそう言い聞かせ、とにかく練習に打ち込み彼と向き合いながら毎日コツコツ積み重ねてみた。
彼にとっては地獄のような練習だったかもしれない。でもとにかく我慢と辛抱、この心構えが身につく。
ひと冬越えて、彼は長い苦しみのトンネルから抜けつつある。
野球で高校に進学したいという目標も叶うかもしれない…
悩んで悩んで、今の状況を打開するために環境を変えようとした。
その苦しみの中で道場と出会った。
たとえ苦しみがきっかけだったとしても、それを素晴らしい縁に変えていく。
自分の野球人生を良いものにするために努力する選手、選手の成長のためにとにかく尽くす私。
この二つが融合すれば、必ず変わります。
選手の可能性を信じる。私は絶対諦めない。
スタートがいつだったとしても、最後まで諦めてはいけない。