道場に体験に来る選手や親御さんに話を聞くと、
所属チームであまり指導を受けていない、
毎週のように試合があるがなかなか出れない、
自分の練習がほとんどできない、そんな話をほぼ必ず耳にする。
二つの正しい考え方がある。
一つは、勝つ事が1番、勝てる選手を使う、練習もそういう選手がほとんどメインになる。
そういう選手しか生き残れない世界。
小学生・中学生でもその考え方でやっているチームが多い。
もう一つは、それとは逆に、勝ち負けは二の次、大敗しても選手を使う、練習も育成のためにどんどん経験させる。
試合をすれば、たまに勝つ事もあるが、負けて学ぶ事の方が多い。
小学生・中学生の間はとにかく経験。高校へ行ってからが勝負。
この二つ、どちらも間違ってはいないが、融合させる事は難しい。
正しい2つの考え方には「矛盾」がある。
決して交わる事ができない考え方。
あとは、指導者・選手がどちらを選択するか…。
私は後者の考え方だ。そこに信念を持っている。
結果や実績よりも経験と練習を積ませたい。
毎日の積み重ねを大切にしたい。
練習をやってもやってもうまくいかなかったり、試合で大敗したりすると、
長い指導経験の中でも指導を考え直したり、自問自答する事はよくある。悩む時もある。
そんな時、私の師匠達に相談する。
名前は出せないが、野球界のレジェンドと言われるような方達で、指導法や人間性など、心から尊敬できる人達。
その師匠達に言われた事「負ける勇気があるか?」「相手から笑われる勇気があるか?」
その勇気があれば、悩む事はない。
やはり私は育成にこだわりたい。
選手のピークが小学生・中学生の時ではなく、
高校生や大学生で花が咲いてくるように大事な事から積ませていく。
勝ち負けよりも育てる事。最後はその考えに戻ってくる。
そこは曲げる事ができない。
それが矛盾の野球界の中にある私の信念。