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なぜ道場を立ち上げたのか…社会人時代①

大学を卒業して、大手自動車ディーラーに就職した。就職難と言われた時代に、すんなりと就職できた事で、自分は変な勘違いを入社当時からしていた。
自分はできる、野球の話をすればみんなが興味を示してくれる、会社もドラフト1位ぐらいのレベルで採用したはず、
そんな歪んだ自信が僕の心を覆い尽くしていた。

でも、厳しい現実はすぐに僕の前に立ちはだかった。
新人営業マンとして、自分の名刺とプロフィール用紙を持って、一軒一軒ポストへ投函していった。一週間で1000軒。
もちろんプロフィール用紙には野球経歴を大きく書きアピールした。
何人の方が興味を示してくれるか、余裕を持って楽しみに待っていた。
しかし、連絡もゼロ、名刺を配った1000軒の中で、店頭に車を見に来てくださったお客様もゼロだった。
そのショックは今でも覚えている。
そんなはずはないと思いながら、もう一度、1000軒ご挨拶に回った。

そこで知る現実…。

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ほぼ全軒、名刺もプロフィール用紙も配った方の記憶にすらなかった。簡単に言えば、目も通さず捨てられていたという事。
少しずつ音を立てて崩れていく自信。野球の話に持ち込めばアピールできる。その考えが、いかに甘いかを思い知らされる。
世の中の人がみんな野球に興味があると思い込んでいた自分、大学を卒業し野球から離れ、社会に出た時、
野球以外の場で自分はどうしたらいいのかが全く分からなかった。野球以外の話ができなかった。
それでも守ろうとする歪んだ自信とプライド。野球の経歴が作り上げてしまった部分もあるが、間違いなく未熟すぎた自分がいた。
「自分は一生懸命やっているけど、不景気だから売れない」「どれだけ足を運んでも、お客様は分かってくれない」
毎日毎日言い訳の日々だった。自分は悪くない、周りが分かってくれない、気づけばそんな考え方をしていたので、
会社からもお客様からも理解されるわけがない。

長い間野球を続けてきて、強豪校で主将まで務めて、そんな僕の何に会社が期待してくださったかも当時は気づかずにいた。
だんだん失っていく自信、一日一日勢いをなくしていくヤル気、野球で苦しい日々を乗り越えてきたとは思えないほど弱い人間になっていた。
営業に出て行くのも怖い、上司から厳しい言葉を言われては落ち込む。
気づけば、これ以上ないほどの挫折で私は会社を逃げるように去った。

続く

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