指導というのは本当に難しい。
自分がプレーするより何倍も何十倍も考えて勉強しなくてはいけない。
体の癖、動きの特長、器用不器用、運動神経、考え方、性格…全く同じという選手は1人もいない。
育った環境、友人関係、野球環境、私と出会う前まで受けた野球指導、その歩みによっても1人1人の育て方は違う。
「私達の子供の頃は…」という話はしたくない。
時代も違えば、世の中の環境すら違う時代の話をしても今の選手達には届かない気がする。
「今の時代だから…」というのも違うと思うが、いつの時代も怒る・叱るという指導は正しいとは思わない。
必要な場面はあるかもしれないが、そこの見極めだけはしっかりやろうと思う。
怒る前に…叱る前に…それが必要かどうか自分自身がよく考えるという事を大事にしたい。
怒る・叱るよりは、褒める・乗せることを大切に。結局やるのは選手達、彼ら自身がヤル気にならなければ成長しないし、どうせやるなら楽しくやって欲しい。
楽しむを遊ぶ・緩むになってしまう場面もあるが、それも子供らしい部分でもある。
そこを理解した上で、成長へと繋げていくのが指導者。
力で押さえつける方が楽、怒る・叱るの方が言う事に従う。
でも、人の目を気にしたり、叱られないように行動したり、叱られたからやる、都合良く逃げ道を探していく、子供がそんな性格や考え方になるケースもあるので、厳しい指導をスタンダードにする事は反対。
これからも、そんな指導をする事はないと思う。
大事に考えたい事、それは否定せずに理解してあげる事だと思う。
どんな環境で野球をやってきて、私と出会うまでに身につけて来た技術と考え方を否定はしない。そこからどう向き合ってあげるかが大事。
子供の大事な人生を、一緒に背負って野球をやるぐらいの気持ちで日々サポートしていきたい。
何が正しいか、やってみないとわからない事もたくさんある。
自分のヤル気を信じて、目先の結果だけで物事を判断しないように、コツコツ積み重ねる事を教えてあげたい。
簡単にはできない事や、欠点ばかりに目を向けさせるよりは、簡単にやれる事を誰も真似できないぐらい積み重ね、長所を伸ばす事を大切にしたい。
中学生や高校生ぐらいになってくると、打ち方や投げ方は少しずつ形ができてくる。1人1人のスタンダードのようなものが出来上がる。
その形が良いか悪いかは別にして、今までの長い野球経験で出来上がったものをリセットして1から作り上げていく事は現実的に難しいと思う。
私は、リセットする事よりも、子供達が一生懸命やってきた今までの形をどう生かすかを最優先に考えたい。
簡単に否定する指導者もいるが、それはあまりにも指導者が未熟に思える。
子供達には考えて野球をして欲しい、未熟な自分と向き合って欲しい、そう考えれるように私も努力したい。
ただ、必要以上に悩んだり、抜け出せない悩みの底まで突き落とす事はない。
最終的には簡単にシンプルに理解させたい。
伸びていく選手やコツコツ力を付けていく選手とはどんな選手か…。
ダッシュを10本走る練習があっても、それをどう走るか。守備や走塁を意識して手を抜かず走りきる選手と、ゴール手前から流す選手では、絶対にプレーに差が出てくる。
バットを100回振る選手に負けたくなければ、それ以上振り続ける選手しか勝てる可能性はない。
日々教わっている野球の基本を何度も何度も繰り返し練習する選手だけが、将来当たり前のプレーを当たり前にやれるようになる。
生き残っていく選手というのはそんな選手だけだと思う。
指導の仕方や考え方も選手同様十人十色。
何が正しいかも人それぞれだと思う。
あとは、自分の指導を信じる事、ブレない事。
結果や成長ばかりを求めるのではなく、私はそれまでの歩みと、自分が子供達のためにどこまで尽くせるかにこだわって、これからも指導者やっていきたいと思う。