「今の時代は… 」「昔と違って…」そんな言葉が野球界ではよく出る。
少年野球や中学野球や高校野球のような、子供たちの野球では、特にその言葉と共に変化している事がたくさんある。
昔は当たり前になっていた暴力や暴言、必要以上の上下関係、父兄の負担、それらも少しずつ見直され、業界が改善傾向にある。
高校野球の坊主廃止や暑さ対策など、これから変わっていくであろう良い傾向も見られる。
直接的に技術に関係ない謎の習慣は、一つ一つ見直されていけば良いと思う。
そんな中で、私は絶対に考えを変えない事がある。
それは「練習量」だ。
中でも基礎基本の繰り返しだけは絶対にやめるつもりはない。
地味で地道で、子供たちからするとつまらない練習だと思う。
毎週毎週試合をして、勝った負けたと盛り上がっていく方が楽しいのは分かっている。
でも、そこだけは妥協できない。
子供たちをしっかり観察して、一人一人の野球人生の設計を考えながら、どう育てていくかを毎日毎日考えている。
やはり、答えや結果を出していくためには練習しかない。
大昔のように、ただダラダラ長い距離を走る、野球のプレーに繋がらないようなダッシュを繰り返したり、水分補給もさせずに倒れるような中で、トレーニングを精神修行のようにする事は絶対に必要ない。
練習内容は濃く、やる事を徹底し、選手父兄の負担にならないよう短時間の練習を毎日コツコツ積み重ねていけるように育成プランや毎日のメニューから考える。
走る事や地味で地道なトレーニングは今でも絶対に大事だと思う。
素振りもちょっとした守備の動作も、やはり徹底していかないと自分のものにならない。
10年20年子供たちと一緒に野球ができるわけではない。私に与えられた時間の中で、高校までにどう育てていくかを最優先に考えなくてはいけない。
試合があっての練習…と言う今、私は練習があっての試合だと思っている。
私も子供の頃、野球を始めたのは中学生からと遅かった。今思うと、高校までは試合より練習を多くした記憶の方がある。
古臭いと言われるかもしれないが、基礎基本練習はつまらないが大切にしたい。
技術も能力も無限の可能性も、私の子供の頃より、今 毎日一緒に野球をしている子供たちの方が絶対に上だが、唯一私が子供たちに負けないと言い切れる事がある。
それは積み重ねてきた練習量だと思う。