「後悔と諦め」
精一杯努力をしたつもりだが、まだまだやれる事はたくさんあった。
とにかくケガが多かった。自分の不注意、トレーニング不足、体の弱さ。
最後の最後まで諦めず、自分に向き合ってコツコツ練習を積んでいれば、
もう少し道は開けたかもしれない。
大きな後悔…。
不完全燃焼で野球人生が終わってしまった。
その後の人生は、自分に自信がないのに、歪んだプライドと野球経歴に頼るしかなかった。
野球の肩書きだけで社会を乗り切ろうとして、完全に踏み外した20代。
野球界以外では野球というのは無力だった。
人の気持ちが分からず、自分の気持ちを押し付けようとして失敗した人間関係。
「地獄のような練習を乗り越えて来た…」だから「私は偉い・凄い」という愚かな考えだった…。
30代中盤からようやく自分の未熟さが見えてきた。未熟さを認められるようになった。
野球というスポーツは本来素晴らしいものだ。
でも、考え方や生き方を間違えてしまうと野球の素晴らしさが人に伝わらなくなってしまう。
自分の無力さを受け入れれるようになった私は、そこから必死で野球指導の勉強をした。
未熟な自分にできる事は、野球経験・社会経験の失敗を生かして、選手達を育てる事。
「野球が上手ければ良し」の野球人生ではなく、人間教育の一環として野球を通じて「人の心」をどう育てるか。
私が人の役に立てるような人間になれれば、選手達もきっとそんな大人になってくれるはず。
歪んだプライドや自分の経歴・肩書きなんかに頼ってはいけない。
選手達の前でカッコ悪くても指導者の私が必死になれるか。
私の失敗だらけの野球人生を、今、選手達の指導に生かす事ができるか。
自問自答を繰り返しながら選手達とともに歩んでいる。
選手達のおかげで、後悔や諦めだけの野球人生も許せる自分が今はいる。
選手達に感謝しかない。
選手達、父兄のみなさん、スタッフ、本当に人に恵まれた。ここに最高の幸せがある。
だから私はやる。自分が現役の頃とは比較できないぐらい努力できる。
そう思える野球はやっぱり素晴らしいと心から思う。