子供の野球界は何かがおかしい。
私が子供の頃のような暴力はなくなってきたが、まだまだ昔の流儀が当たり前のように残っている。
勝利至上主義が悪いとは思わない。
でも、勝利至上主義のやり方で犠牲になる子供たちもたくさんいる。
野球の世界に足を踏み入れた子供たちの大半は、野球に魅力を感じたり、野球に興味を持ち、夢や目標を持っている。
それが叶うか叶わないかは当然分からないが、そこに近づいていくためにはどうしたらいいか、子供たち一人一人特徴や癖も違う中で、その子その子にはどんな長所があり、逆に何が足りないのか、そこと向き合いながら少しずつ成長し、夢や目標に近づけていくサポートをするのが、指導者など大人の役目だと思う。
私も子供の頃は、勝つために体も心も無理をしてきた。肩が痛い、肘が痛い、腰が痛い…言えば出れなくなる恐怖から言い出せず我慢しながらやっていた。
だから万全な状態でプレーする事はあまりなかった。小さい頃から加減や適量が分からず筋トレもガンガンやった。
全ては気合いと根性で乗り切れると思い込んでいた。必死ではあったが、楽しくはなかった。
大人になり、今は小・中学生の指導者となったが、自分で自分の歩んできた野球人生が正解ではなかったと感じている。
当時は、そんなスパルタ根性野球が常識だったから仕方ないが、それを美談にしたり肯定してはいけない。
疑い、反面教師にし、二度と同じ事を繰り返さない野球界に進んで行かなくてはいけない。
高校野球という存在が大きすぎる日本。
そこに向けて小・中学生のうちから仕上げていく子供の野球界。
有名校、強豪校を目標にする事は悪い事ではない。
ただ、どんどん体づくりや情報・データが早熟化している高校までの子供の野球が良い方向とは思えない。
だから、高校の考え方や指導者の人柄まで私は大切だと思う。
暴力は昔よりは減ったが、相変わらず支配や拘束、自分を押し殺して上の者に従う世界はかなり残っている。
それが大事という意見の方が大多数なので、野球界はなかなか変わらない世界だと思うが、私は高校卒業までは、体や心を守るという考え方を変えたくはない。
野球界は少し異質な部分がある。
常識だと思ってきた事も、普通に考えたら非常識な事が多い。
小・中学生の野球界も高校野球も、まだまだ闇は深い。でも、歪んだ常識を覆すために戦う人も出てきているという光も見える。
私も信念は曲げず、考え方や視点もアップデートしながら、必ず時代は変わると信じて、努力は続けていきたいと思う。